


お社まわりの草木の姿に、誰もがふと立ち止まり考える。
稲荷山に詣でたらぜひ参道のわきの草花にも目を向けてあげてください。何年も何百年もその地に生えている木や苔があります。それをただ見過ごすのはもったいない。さかのぼって想像すれば、ずっとそこに生きてきた長い歴史と生命力にただただ敬服します。


藪椿花言葉/気取らない魅力
別名ヤマツバキとも呼ばれ、公園や庭などで親しまれる花で、国内では6,000を超える品種に別れるといわれています。早春から春にかけて開花する花には多量の蜜液を蓄えており、小鳥や昆虫がよく集まります。


野生の蘭花言葉/美人、優雅な女性
カトレア・胡蝶蘭または春蘭、寒蘭などの一般的な欄とは違い、この近辺では野生の蘭の一種、紫欄を見ることができます。“紫”という字を含む名前ですが、白く美しい種類のものなど多数あり、参拝客の眼を楽しませてくれます。


梅花言葉/高潔な心、澄んだ心
バラ科の落葉高木で中国原産の植物です。古くから庭木など親しまれ品種は300以上もありますが、この辺りでは野梅が多く見られるようです。


桜胴吹き桜を見つけてみませんか?
木の幹から直接花を咲かせている桜を見たことがありませんか? あれを「胴吹き桜」と呼びます。
胴吹き桜は歳をとった老木に見られる現象です。光を浴びたり、根からの栄養を体に回すことが難しくなってくると、何とか命をつなごうと木が起こす現象なのだそうです。本来なら枝を伸ばし、そこから花を咲かせるところを、枝に使う養分を惜しんで直接幹から花を咲かせます。
しかもその花はその木の中で一番先に咲き、最後まで咲き誇ると言われています。もうすぐ寿命をまっとうする時が近づいていることを知り、懸命に自分の命をアピールしているのかもしれません。まだまだ花を咲かせることができるのだと主張しているようにも見えます。振り絞った力で懸命に咲いている姿は健気にも見えますが負けてたまるかという底力を感じます。
胴吹き桜からは生命の力強さを学べます。どんな境遇になっても、たとえ年老いても、自分の花を咲かせることができるという姿は、人間である私たちも見習いたいものです。


シダ実は神様とゆかりの深い植物です
稲荷山は水はけのよい斜面にたくさんのシダが自生しています。 眼力社周辺は自然の倒木と湧水が作る適度な湿地帯であり、土質は落ち葉などの腐葉土で栄養満点、シダが大好きな酸性質です。しかも参道外は1300年もの間、人間に踏み荒らされることがないのだから居心地が良いのです。
文字通りこの地に「根ざして」何年存在するのでしょう?山中は杉、楢、樫、松などの高木が自生しており、その根が乾かないようにシダが足元を守って来ました。まるでカバとウシツツキ(鳥)のような持ちつ持たれつの関係です。もしシダを見つけたら「ここに生えられてよかったね」と声をかけてあげてください。
ちなみにシダの語源は「下垂れる」という意味からきているそうです。漢字で「歯朶」や「羊歯」と書くそうですが葉が歯状に裂けているところからその名がついたそうです。お正月のしめかざりや神様へのご供物に、ウラジロの葉を用いる習慣がありますが、これは歯朶の歯が齢(よわい)を重ねるを意味することから「齢を重ねる」「長生きをする」さらに「子孫繁栄を願い祝う」という意味があるそうで、神様ととてもご縁のある植物なのです。


紫陽花花言葉/ひたむきな愛情、移り気
ユキノシタ科の落葉低木で原産地は日本。万葉集にも詠まれている歴史ある花です。ヨーロッパを中心に品種改良が盛んに行われ、現在では日本で約150種、西洋では500種を数えると言われています。大杉大社さんから眼力さんまでの湿地部に多く見られます。


杉苔花言葉/母の愛(コケ類)
小杉苔、馬杉苔、大杉苔の三種ともにスギゴケと呼ばれることが多いようです。苔の仲間では珍しく日当たりの良い場所を好み、稲荷山の土手や岩肌などに群生を作り生息しています。


水苔花言葉/母の愛(コケ類)
淡緑色の茎から数本の枝が束生して葉をつける苔。日本では約50種が数えられ、高山や湿地帯に生息し、時間とともに高層湿原をつくることも。


萩花言葉/前向きな恋・物思い
マメ科ハギ属に分類され山野に生息する植物。秋の七草のひとつとして有名。秋を知らせるその可愛らしい花は、万葉の時代は、恋文を荻の花の枝に結んで相手に贈ったそうです。


青木花言葉/若く美しく
ミズキ科に属し、日陰を好み、秋から年を越して春にかけて鮮やかな赤い実をつけます。火であぶった葉はやけどや腫れ物の外用に効く薬草となります。


紅葉花言葉/大切な思い出
正確にはカエデの別名。まさに秋を代表する植物。眼力社周辺には多く生息していて、紅葉の季節にはその美しさで訪れる参拝人を華やかに出迎えてくれます。


姫寒葵花言葉/美しい人格
ウマノスズクサ科に属する常緑の多年草。寒葵のなかでは比較的小さいことから姫寒葵の名称がついたそうです。あまり日が当たらず、きれいな水のある場所を好むので、この辺りは絶好の生息場です。
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