この季節はどんな風景?どんな人が訪れるの?
季節によって稲荷山の景色は変化します。また訪れる人の装いも、来る顔ぶれも変わります。春夏秋冬のお山の風景と、私KATOが偶然見かけた参拝者の情報を写真付きでお届けします。
夏の始まりを知らせる朝顔祇園祭より伏見稲荷へ行く商売人
今年の祇園祭はコロナウイルス感染拡大を避け中止になりましたが、通年でも真のご商売人は祇園祭より伏見稲荷に行くと言います。また観光客が少ないので七月の稲荷山は一年の中で最も参拝がしやすいとも言えます。
よく精一杯やることを「頑張る」と言いますが、商人の世界では昔から「顔晴る」と言われて来たそうです。顔を晴れやかにしていないと運は上向かないとの教えだそうです。うまいこと言いますね。
猛暑で蒸し暑い中でも上を真っすぐ見て伸びる朝顔は黙って私たちに教えを説いてくれているのかも知れません。
梅雨の始まった6月景気回復祈願に向かう人々
10日のお田植祭を過ぎると関西にもいよいよ梅雨がやって来ました。
「眼力社はどちらですか?」途中、お店の人に道を尋ねる初参りの女性を見かけました。また、二か月ぶりに月参りに来ることができ、神様にしっかりと自粛中のお礼を申し上げているご夫婦もお見かけしました。
どの人もみな足元が悪い中、一段一段石段を踏みしめながら眼力社を目指し、帰って行きます。それぞれの人に幸運が訪れるのは間もなくのことでしょう。
外出自粛規制が明けるまであと数日の5月眼力社までの道しるべ
今年は年明け早々から新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、日本中が外出自粛の規制を受けました。稲荷山も例外ではなく、5月になると客足がぐんと下がり、飲食店やお土産物店は閉店せざるを得なくなりました。
お山には経営難に陥った事業主や雇止めに遭った会社員、アルバイトを失った学生に至るまで誰もが今後の先行きを案じて来ています。こんな時こそ神様を頼ってください。たった一人で交通費とろうそく代、お賽銭だけでできる願掛けです。余分な費用は掛かりません。どうか皆さんが豊かな生活を取り戻せますように。
4月、開放気分でもマナーは守って二列で歩く大学生
稲荷山参道を登っていると必ず見かける風景、二列歩き。春の日差しが心地よくて友達とおしゃべりしながらついつい並んで歩きたくなりますが、前から人が来たときはさっと一列に戻るのがマナー。
ここはすでに神域に入っている場所なので行動も思考も実は神様に全部見られています。こういう人がもし願掛けしたとしてもまずやってしまった悪事を取り除いてからしか願いは叶えることが出来ません。神様だって辛いんです。
神様に好かれたいならモラルある行動を心がけましょう。他人を思いやれない人にご利益はありません。
木漏れ日に春の気配を感じる3月猫の写真を撮る女性
うららかな春の日差しに誘われて、外出したくなるのは人間だけではなさそう。いつもは祠(ほこら)の後ろに隠れてひっそり暮らすお山の猫たちもこんな日は日向ぼっこに出てきます。
先月に引き続き今月もコロナウイルスによる外出規制が布かれているので稲荷山の参拝客は少なめ。閑散とした参道ではお山に棲む猫と人とのコミュニケーション風景が見られます。
落ちているゴミを漁れば嫌われて、日向ぼっこだけなら人気者。追い立てられたり、撫でられたり。その境界線が分からない猫たちの声が聞こえて来そうですが、ポーズを見れば悪い気はしてなさそう。
高校受験を控えた2月最終祈願に向かう学生
毎年二月になると受験生が伏見稲荷大社の境内にある東丸神社さんに願掛けにやって来ます。
時間のある子たちは稲荷山にも上り眼力さんを目指すのですが、今年はあいにく世界的にコロナウイルスが流行っているので、お山の中では制服姿の子供たちをほとんど見かけませんでした。
でも中には熱心な子がいて、訊いてみると頂上を目指しているとか。大きなリュックには教科書がたくさん詰まって重そう。
「今年は受験なので今まで勉強してきたすべてを試験で出し切れるように願掛けに来ました」息を切らしながらもはつらつとした爽やかな受け応えに思わずファンになってしまいました。受験、頑張って!
令和二年元旦夜明け前の眼力社初もうで
新しい年が明けました。
眼力さんには新年のご挨拶を神様にするために午前0時から参拝者が訪れます。拝殿には今年一番のあいさつをするため、たくさんの人が並んで列を作り、自分の順番がまわってくるのを待ちます。観光化が進みどんなに人が増えても、この風習だけは変わりません。
今年も一年良い年でありますように。
師走の眼力亭ヤマト運輸さんと参拝者が一つの火鉢を囲んで
師走になると稲荷山はお正月の準備が始まります。
ヤマト運輸や郵便局、佐川急便など大手運送会社のドライバーさんが全国各地から縁起物やお供え物を届けにやってきてくれます。そんな中、服部さんが大きな段ボールをいくつも抱えたドライバーさんに「ご苦労様、あなたも温まって行って」と声を掛けました。
「有難うございます」と言って火鉢にかざした手はひび割れ、しもやけて真っ赤になっていました。「まぁ、一年間こんなになりながら運んでくれたんやねぇ。ありがとうねぇ」
眼力亭の中では業者さんも参拝者もみな同等に扱ってくれる服部さん。そのやさしさにみんなが集まり今年一年を振り返ります。
11月、紅葉始まる雨上がりのある日店の軒下に走る外国人
夜通し雨が降り続いた翌日は、紅葉狩りにぴったりな秋晴れになりました。
突風が吹いて稲荷山の木々を揺らすと、どこからともなくバラバラ、バラバラと屋根を打つ、雨より大粒の何か。そこら辺を歩いていた観光客が一斉に店の軒先を借りて避難します。
その正体は大粒のどんぐり。
言葉は通じなくとも痛いのは皆同じ。同じ屋根の下に入った外国人と思わず目が合って笑顔で会釈しました。そんな何気ないコミュニケーションを楽しみながら稲荷山散策は続きます。
10月、秋の行楽がてら縁起物を買うだけの男性
涼しくなり始めた秋のある日。「すみません、これください」振り返ると願力ノートを手に持っている男性がいました。その方はさっさとお支払いをし帰って行かれました。
たぶんネットを見て眼力社の縁起物のことはご存じなのでしょう。もしかしたらもう何冊目かのご購入かも知れません。しかし肝心なことを忘れています。
いくら現地までしんどい思いをして登り縁起物を購入しても、神様への挨拶を忘れてはせっかくのご利益も半減です。まずは拝殿で手を合わせ、いつも守っていただいていることに感謝し購入はそれからにした方が良いです。
神様との付き合い方は人づきあいと同じです。挨拶の良い人は信用の厚みが違います。
9月、台風後の秋晴れにご夫婦で一年ぶりのお参り
大きな台風が千葉県上空を過ぎた9月のある日。
「千葉、大変だったね。今月中には電力復旧する予定らしいよ」
「あ、トンボ飛んでる。そういえば去年もここら辺で見たね」「いや、あれは10月だったよ。俺の誕生日だったもん。忘れたの?月日が過ぎ去るのは早いね。お互い歳取るわけだよねぇ」そんな会話をしながら参道を登るご夫婦をお見かけしました。
一枚のタオルを仲良く共有し、背中を押し合いながら登る後ろ姿をすれ違った外国のお客さんがこっそりスマホで撮影。夫婦愛は国境を越えても伝わるのでしょう。
8月の猛暑東京から来た、女性一人旅
気温37℃、体感温度は優に40℃を越える8月。
長袖ブラウスの袖が、まるで雨に打たれたかのように汗でびっしょり濡れたその女性は、おひとりで東京から来ていました。
「日帰りで今日帰ります。先ほどご祈祷をあげさせていただきました。ちょっとお買物させてくださいね」そう言っていくつかの縁起物を選び、さっと帰って行かれました。私はこんなに立ち居振る舞いの美しい方がいらっしゃるのかと感動しました。
眼力さんにはここ最近、東京方面からおひとりで来られる女性が増えています。皆さんそれぞれお悩みごとを抱えていらっしゃるようで、普段人に言えないようなことも眼力さんには相談できるようです。
〒612-0804 京都市伏見区稲荷山官有地19 眼力大社前 TEL(075)641-6051 (大西)