お茶屋さんの抱える葛藤
何度かお山に登って各お茶屋さんに立ち寄っていると、一部のお店の店員さんが不機嫌なことに気付きます。
私も初期の頃あるお茶屋さんでうどんを食べたくて「もう注文できますか?」と午前中に訪問したら嫌な顔をされて断られました。
お昼からの方が客足が多くなりお出汁を湧かすのも効率が良いからでしょう。何度も何度もお山に通ううちにこの山では「求めちゃいけないんだ」と悟りました。
そしてそのお茶屋さんの前を何度か通っていると、お客さんとの会話でお店の人の抱えている悩みを知る機会がありました。
(お客さん)「ねぇねぇ、頂上までここから何分?」
(お客さん)「トイレ貸してくださ~い」
(お客さん)「シャッター押してもらえません?」
(お客さん)勝手に店内にカメラを向けて写真を撮る。などなど。
お店の人たちは同じ質問の繰り返しと、配慮の無い「要求」を来る日も来る日もされていました。私はさすがにこれは店員さんが気の毒だと思いました。
頂上まで登るには何分かかるかインターネットで調べれば誰でも分かります。またトイレはお山に登る前に伏見稲荷大社の敷地内に3カ所以上ありますのでぜひ済ませてから登ってください。山中にもありますが場所が離れているのであらかじめ地図で確認して登るなど、お茶屋さんで借りようとはしない方が賢明です。
最初に書きましたが、ここは観光地と呼ばれていますが純然たる観光地ではありません。そしてお茶屋さんはもともと修行する人をお世話するお店です。高齢化した店主さんとその方に育てられた跡継ぎさんは商売変えをし、観光化することに戸惑いを感じています。
そしてはっきり「もうちょっと謙虚にしたら?」と言えずにいるから一部の観光者に対し怒りを抱えているのです。 お店の人も今一生懸命「修行」しています。あなたも修行するつもりで行ってください。
そしてできるだけ同行するご家族、お友達にも教えてあげてください。
誰一人、お山で嫌な思いをしないことを祈ります。
KATO
■稲荷山のトイレの場所
・奥社奉拝所公衆トイレ
・熊鷹社より手前5分ほどの道脇公衆トイレ
・御膳谷奉拝所公衆トイレ
いずれも登る前に現地看板で確認してください。
特にお子さんを連れている場合は必ず確認しておいてください。
- 第一話 ここは観光地ではありません。
- 第二話 観光ではなく修行に来てください。
- 第三話 あなたが持っている常識ともう一つ違う、さらに上。
- 第四話 お茶屋さんの抱える葛藤
- 第五話 年末の稲荷山
- 第六話 稲荷山は人を試す
- 第七話 神様はどんな人に興味を持つのか?
- 第八話 罰が当たるとき
- 第九話 外国人向け参拝の仕方