●第五話●
年末の稲荷山
この稲荷山での生活をご存じないかと思うのでひとつ。
年末になると各お茶屋さんに年始に向けての縁起物とろうそくなどの補填が行われます。道幅わずか1メートルほどの石段の参道は当然車が通れません。リヤカーも無理です。
そのため専門の運び手さんが配達に来てくれます。
この方も高齢のおじいちゃんなのですが、どんな姿で運ぶと思いますか?
2メートルほどの木の竿を肩にかけ、一斗缶を両端にぶら下げて鳥居に当たらないように斜めにして歩くのです。
往路復路、お茶屋さんと駐車場を行ったり来たり。
およそ現代とは思えない光景です。
また、ほとんどの茶店の雨戸は木製で昭和初期、戦前の家屋そのもの。湿気が多いので雨戸は歪み、それをがたがたと慣れた手つきで女将さんが開けて一日が始まります。
それはそれは古き良き日本の風景ですので、思わずシャッターを押したくなる人の気持ちも分かります。しかし、見た目の魅力とそこで働く人々の思いは別の物。
郷に入れば郷に従うの精神で、マナーを守ってご参拝ください。
KATO
- 第一話 ここは観光地ではありません。
- 第二話 観光ではなく修行に来てください。
- 第三話 あなたが持っている常識ともう一つ違う、さらに上。
- 第四話 お茶屋さんの抱える葛藤
- 第五話 年末の稲荷山
- 第六話 稲荷山は人を試す
- 第七話 神様はどんな人に興味を持つのか?
- 第八話 罰が当たるとき
- 第九話 外国人向け参拝の仕方
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